※以下は2020年3月末に調査した結果です。
こんにちは、しらすです。
連日、日本のPCR検査数が少ない!という話が出ています。「そもそも検査できる数が少ない?」「検査はできるけど実施されていない?」「他の国の検査可能数は?」などなど、昨今のニュースを見ていて疑問に感じた点を調べました。厚生労働省やオックスフォード大学、各種ニュース等のソースを調べながら現状をまとめておきたいと思います。
※あくまで私個人の調査結果に基づく内容となっていることご了承ください、調査は4月1日時点になります
日本のPCR検査数の推移
厚生労働省の感染症情報のページに2月初旬からのPCR検査数の推移がありました。4月1日時点のものになります(3/31, 4/1の検疫所分は未集計)。4月1日時点で、検査数は3604件となっています。
PCR検査可能数
1日に可能な検査は、2月18日には約3800件でしたが、今月16日の時点では約2倍の7504件に増えました。
NHK web news 3/18 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200318/k10012338031000.html
上記の7504件という数字は3月16日時点のため、今はもっと増えていることと信じています。
私が探した範囲では上記PCR検査実績のNo.3 地方衛生研究所・保健所のデータが公開されておりました(厚生労働省 「都道府県別キャパ集計(※200401時点)」 )。
こちらによると、地方衛生研究所・保健所でのPCR検査可能数は4830件(4月1日時点)とのこと。4月1日には地方衛生研究所・保健所では検査実施数は2579件のPCR検査が実施されているので、53%程度の稼働率となります。全国に検査所が散らばっていることもあり、フルで稼働させることは難しいんでしょうか。
他の国のPCR検査の状況
ここからは、各国のPCR検査の実施数に着目して他国の状況をみていきたいと思います。日本の検査可能数(3月中旬で7500件)に対してどうなのか見ていきましょう。
感染が最初に始まった中国
1日 2万件 ※2月末時点、武漢市内のみ
これまで世界で最も多く新型コロナウイルスの検査を行ってきた中国では、感染の拡大以降、国内のメーカーが独自に簡易検査用の診断キットなどを開発しました。
これにより、発生当初は国の保健当局だけで行っていた感染の有無を調べる検査が現場の医療機関などで行うことができるようになり、最初に感染者が相次いだ湖北省武漢市の幹部は先月下旬の時点で、武漢市内だけで1日あたり2万人を検査する能力があると述べました。
NHK web news 3/18 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200318/k10012338031000.html
日本と同時期に感染が始まった韓国
1日 1万2000件 ※3/18の報道時点、韓国全体
中国に次いで検査数が多い韓国では、効率よく安全に検体を取るため、車の窓越しで行う「ドライブスルー方式」を導入するなど、全国の600か所近くで検体を採取し、1日に平均およそ1万2000件の検査を行っています。
NHK web news 3/18 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200318/k10012338031000.html
世界で最も感染が広まってしまったアメリカ
1日 4万件 ※3/24の記事時点
“We certainly have the capacity. It’s just we’re not doing it,” Jha said Thursday. “We are up to about 40,000 tests per day now — and so we are moving in the right direction. Still far from where we need to be, but moving.”
AP通信 2020.3.24 https://apnews.com/c335958b1f8f6a37b19b421bc7759722
欧州で初期に感染が拡大したイタリア
1日 1万件以上 ※ 3/18の報道時点
感染の拡大が深刻なイタリアでも、1日あたりの検査数は1万件を超えています。
検査はウイルスの遺伝子を調べるPCR検査で、いまのところ感染者の増加に検査が追いつかない状態にはなっていないということです。
NHK web news 2020.3.18 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200318/k10012338031000.html
医療大国ドイツ
1週 50万件(=1日 7万件) ※3/26の報道時点
【3月26日 AFP】ドイツでは、新型コロナウイルス検査の実施数を増やし、現在では週に50万件実施していると、ウイルス学者が26日、明らかにした。検査の強化が、同国で新型ウイルスによる死者数が比較的少ない要因の一つという見方を示している。
AFP 2020.3.26 https://www.afpbb.com/articles/-/3275519
PCR検査可能数でみるとそれほど差がない
海外よりも少し少ない水準ではあるものの、突出して多いドイツやアメリカ以外ではそれほど少ないとは言えないだろう。現時点でもPCR検査可能数は増加傾向にあると思われるので、PCR検査可能数の面では差がない状態ではあるといえる。
これまでのPCR検査数の比較
PCR検査可能数はそれほど大きな差がない。ただしご存知の通り、PCR検査の実施数には大きな差がある。
下の2のグラフは、3月20日時点のものにはなるが、オックスフォード大学が公表している調査データである。
1つ目のグラフは3月20日までのPCR検査実施数である。(手違いで抜けてしまいましたが)日本の検査数は1万5000件。同じアジアの韓国、中国は32万件ものPCR検査を実施しており、比較すると検査数の少なさは顕著であることがわかる。また、イタリアでは20万7000件程度、ドイツでは16万7000件、アメリカでも10万件に上る。
2つ目のグラフでは人口100万人当たりのPCR検査数を記載しているが日本はわずか117.8人 / 100万人である。最初悠長に構えていたアメリカでさえ、すでに313.6人 / 100万人のPCR検査が実施されている。PCR検査実施可能数と稼働率を他国と比較して考えると圧倒的に少ない。なぜ同じ日本がこれほどまでにPCR検査が実施されていないのかは未だ理解できない。
世界の感染者数の推移
以下のグラフは各国の感染者数の推移(3日間の平均)を示している。
現状を見ると、欧州は頭打ちになってきているように見える。逆にアメリカの感染拡大が異常なことがわかる。日本は欧米中東に比べ、かなり低い水準で現在は推移しているが、上記でも述べた通り、検査数が少ないだけではないかということが想像に難くないだろう。現状でも医療現場はひっ迫しているという状況の中、PCR検査数が少ないことは潜在的な感染者がどれほどいるか見積もることができないということだ。これは非常に恐ろしく、感染者が知らぬ間に人に移していく状態であり現状に即した適切な対応が全く取れない。
今後欧米のような推移をたどる可能性は大いにあるため、自分がかからないだけでなく人にうつさないことに特に注意したい。
致死率について
致死率を記載したものもあったため掲載する。ここに上げた国では、イタリアがダントツに多い。アメリカは一度下がった後徐々に上がってきている。
今回のCOVID-19は無症状や風邪程度の軽症者も多い。そのため、検査を広く実施し、見つける軽症者が多くなればなるほど致死率は下がるものと考えられる。特に日本の場合は他国に比べCPR検査数が少ないと感じる。この点を考えると、年代別での違いはあるものの日本の致死率はもっと低くなると考えられる。ただ、今後感染が拡大し医療が崩壊すると致死率は大きく上がってしまうだろう。
調査結果、日本のPCR検査実施数はやはり少ない
やはり、各種報道で述べられている通り、日本のPCR検査実施数は他国と比べても圧倒的に少ないということが分かった。特に、検査可能数は他国とそれほど差がないにも関わらず実施数がとても低いということが日本の特徴だった。
検査までのハードルが高い、専門ではない病院では検査できない、感染研OBが妨害している!?など様々な情報がありますが、他の国ができているんだから日本もできるはず!
PCR検査は現状を把握するための第一歩です。WHOも言っていますが「検査、検査、検査」です。一刻も早くしっかりPCR検査を実施していける体制になってくれることを祈っています。
まとまっているサイト
調査の過程で情報がまとまっているサイトを発見したため、備忘録を兼ねてリンクを掲載します。
Our world data
オックスフォード大学が公表している調査データ。英語サイトですが、COVID-19はホットトピックなので様々なレポートも作成されており、非常に参考になります。
東洋経済
感染者数の推移、各都道府県の感染者数やPCR検査数だけでなく、重症者数や退院者数の推移など豊富な情報が掲載されています。また、個人的にインターフェースがとても見やすくて好きです。わかりやすいサイト。
毎日新聞
各都道府県の現在までの感染者数、コロナ感染者数推移、PCR検査数がまとまっている。
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